この記事のポイント
- Amazon市場調査は、カテゴリーや細分化市場全体の販売機会を評価するために行う
- 参入前に確認したいのは、市場規模・需要トレンド・価格帯・売上集中度・新商品動向の5つ
- 市場規模が大きいだけでは、参入しやすい市場とは判断できない
- 売上が上位商品へ集中しているか、新商品にも販売機会があるかを確認する
- 市場調査の後は、具体的な商品候補を絞り、競合分析と採算確認へ進む
Amazonで販売する商品を検討する際、「このカテゴリーにはどのくらい需要があるのか」「新規参入しても販売できる余地はあるのか」と悩むことはありませんか。
Amazonの売れ筋ランキングや個別商品の販売状況を確認するだけでは、市場全体の特徴を十分に把握できない場合があります。
例えば、月間販売数が多い商品が存在していても、市場全体の売上が一部の上位商品に集中していれば、新規参入の難易度は高いかもしれません。一方、比較的小規模な市場でも、需要が安定しており、新商品にも販売実績がある場合は、詳しく調査する価値があります。
そこで重要なのが、個別の商品ではなく、市場全体の需要・価格・競争構造を確認するAmazon市場調査です。
本記事では、Amazon市場調査の基本的な進め方と、参入前に確認したい「市場規模・需要トレンド・価格帯・売上集中度・新商品動向」の5つの指標について、具体的な見方と判断ポイントをご紹介いたします。
Amazon市場調査とは?商品リサーチとの違い
Amazon市場調査とは、特定のカテゴリーや細分化市場について、販売需要、価格帯、成長性、売上分布などを調べ、参入する価値があるかを評価することです。
個別の商品を調べる「商品リサーチ」とは、分析する対象が異なります。
| 比較項目 | 市場調査 | 商品リサーチ |
|---|---|---|
| 分析対象 | カテゴリー・細分化市場 | 個別商品・ASIN |
| 主な目的 | 市場に参入する余地があるか判断 | 調査・販売する商品候補を絞る |
| 主なデータ | 市場販売規模、価格分布、売上集中度、成長傾向 | 推定販売数、価格、レビュー、BSRなど |
| 次の判断 | どの市場を優先するか | どの商品を詳しく分析するか |
例えば「収納用品」という広いカテゴリーを調べる場合、市場調査ではその中の細分化市場ごとに販売需要や価格帯などを比較します。
その後、商品リサーチで具体的なASINを絞り込むことで、調査を段階的に進められます。
Amazon商品リサーチ全体の流れについては、Amazon商品リサーチの始め方|初心者が売れる見込みと利益を確認する手順も参考にしてください。
Amazon市場調査で参入前に確認したい5つの指標
Amazon市場調査では、市場規模だけでなく、需要の変化や売上集中度、新商品の動向も確認します。
市場を評価するときは、一つの数値だけで判断せず、複数の指標を組み合わせることが重要です。
| 指標 | 確認すること | 主な判断目的 |
|---|---|---|
| 1.市場規模 | 市場全体の販売数・売上規模 | 十分な需要があるか |
| 2.需要トレンド | 販売需要の増減と季節性 | 今後も需要が続くか |
| 3.価格帯 | 平均価格と価格分布 | どの価格帯が中心か |
| 4.売上集中度 | 上位商品が市場売上に占める割合 | 販売機会が一部の商品に偏っていないか |
| 5.新商品動向 | 新商品の数や販売状況 | 新規商品にも販売機会があるか |
以下では、それぞれの指標の見方を解説します。
指標1|市場規模・販売需要を確認する
市場調査で最初に確認したいのが、市場全体にどの程度の販売需要があるかです。
主な参考指標には、月間総販売数、月間総売上、平均販売数などがあります。
市場規模が大きいことの意味
市場規模が大きい場合、その市場で一定の販売需要が存在する可能性があります。
ただし、売上規模が大きい市場ほど参入しやすいとは限りません。大手ブランドや既存商品が販売の大部分を占めている場合もあるためです。
市場規模が小さい場合はどう判断する?
市場規模が小さいからといって、必ずしも参入価値がないわけではありません。
例えば、特定の用途に特化したニッチ市場では、販売数は少なくても、購入者のニーズが明確な場合があります。
重要なのは、市場の販売規模が自社の目標や販売計画に合っているかを考えることです。
データを見る際の注意点:市場調査ツールで表示される販売数や売上には推定値が含まれる場合があります。また、集計対象の商品数やカテゴリー範囲によって市場規模は変わるため、異なる市場を比較するときは条件を揃えましょう。
指標2|需要トレンドと市場の成長性を確認する
市場規模を確認したら、その需要が増えているのか、安定しているのか、減少しているのかを調べます。
市場の現在の規模が同じでも、需要の変化によって今後の販売計画は異なります。
市場の需要変化を3つに分けて考える
| 状態 | 特徴 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 成長傾向 | 市場全体の販売需要が増えている | 一時的な増加ではないか |
| 安定傾向 | 販売需要が比較的安定している | 継続的な需要があるか |
| 縮小傾向 | 販売需要が減少している | 季節性や市場環境の変化がないか |
季節性と市場成長を混同しない
例えば、夏向けの商品カテゴリーで春から夏に販売数が増えた場合、それだけで市場が長期的に成長しているとはいえません。
可能であれば前年同時期との比較も行い、季節的な変動と市場全体の成長を分けて考えましょう。
市場の需要が増えていても、季節的な変動の可能性があります。複数期間のデータを比較しましょう。※グラフはイメージです。
なお、商品単位の需要仮説や季節性の調べ方については、Amazonで売れる商品を見つける方法|需要仮説の立て方と検証ポイントで解説しています。
指標3|市場の価格帯と価格分布を確認する
市場調査では、平均価格だけでなく、どの価格帯に商品や販売需要が集中しているかを確認することが重要です。
例えば、平均価格が3,000円の市場でも、2,000円前後の商品が中心なのか、1,000円台と5,000円台に分かれているのかでは、市場の特徴が異なります。
平均価格だけでは分からないこと
平均価格は市場の大まかな水準を把握する指標ですが、極端に高い商品や安い商品によって変化する場合があります。
そのため、可能であれば価格帯ごとの商品数や販売状況も確認しましょう。
価格帯から考えられること
- 低価格帯に商品が集中している場合、価格競争が起きやすい可能性がある
- 複数の価格帯に需要がある場合、用途や仕様によって購入者の選択が分かれている可能性がある
- 高価格帯でも販売実績がある場合、付加価値を求める需要が存在する可能性がある
ただし、価格帯だけで利益率や参入可能性を判断することはできません。商品原価やAmazon手数料なども別途確認する必要があります。
指標4|売上集中度から市場の競争構造を確認する
売上集中度とは、市場全体の販売数や売上のうち、上位商品がどの程度を占めているかを示す考え方です。
市場全体に需要があっても、その大部分が少数の商品に集中している場合、新規商品が販売を獲得するのは難しい可能性があります。
売上集中度を比較すると、上位商品への売上の偏りを把握できます。※数値は説明用の仮想例です。
売上集中度の基本的な見方
例えば、調査対象市場の月間推定売上が1,000万円で、そのうち上位10商品の合計売上が700万円だった場合、上位10商品の売上シェアは70%です。
上位商品の売上シェア(例)
上位10商品の推定売上合計 ÷ 調査対象商品の推定売上合計 × 100
700万円 ÷ 1,000万円 × 100 = 70%
これは計算方法を示す仮想例であり、実際のAmazon市場データではありません。
この数値が高いほど、対象とした商品の中で売上が上位商品に偏っていると考えられます。
集中度が高い市場は避けるべき?
必ずしも避けるべきとは限りません。
ただし、上位商品が強い理由や、新しい商品が販売を獲得できているかを追加で確認する必要があります。
反対に、売上が分散している市場でも、価格競争が激しい場合があります。集中度は参入判断の一つの材料として利用しましょう。
比較時の注意:上位10商品などの対象件数、集計期間、商品サンプル数を揃えて比較してください。サンプル内の売上シェアは、市場全体の実売上シェアと完全に一致するとは限りません。
指標5|新商品動向から参入機会を確認する
市場全体の需要や集中度を確認したら、新しく出品された商品にも販売機会があるかを調べます。
既存の人気商品だけでなく、新商品がどのような状況にあるかを見ることで、市場の参入しやすさを考える材料になります。
新商品で確認したいこと
- 直近数か月で新しく出品された商品があるか
- 新商品に一定の販売実績があるか
- 新商品が市場全体の販売にどの程度貢献しているか
- 新商品の販売が一時的なものではないか
新商品が多いだけでは参入しやすいとはいえません。新商品が増えていても、販売実績が乏しい場合は注意が必要です。
反対に、新商品が少ない市場でも、需要が安定している場合があります。
新商品の定義を揃えて比較する
「出品から3か月以内」「出品から半年以内」など、新商品として扱う期間によって結果は変わります。
複数市場を比較する際は、新商品の定義と調査期間を揃えることが重要です。
Amazon市場調査の具体的な手順
ここまで紹介した5つの指標を使い、実際に市場調査を進める手順を整理します。
STEP1|調査する市場の範囲を決める
まず、対象となるAmazonマーケットプレイス、カテゴリー、細分化市場を決めます。
例えば「ホーム&キッチン」のような広いカテゴリーではなく、具体的な商品用途まで範囲を絞ると、調査結果を判断に結びつけやすくなります。
SellerSpriteでは、市場リサーチで市場全体を確認することができます。
STEP2|市場規模と需要トレンドを確認する
月間総販売数や売上規模などを確認し、可能であれば過去の推移も調べます。
市場の現在の規模と、需要がどのように変化しているかを分けて記録しましょう。
SellerSpriteでは、市場リサーチで市場全体を確認した後、商品リサーチで具体的な商品候補を絞り込めます。
STEP3|価格帯と売上集中度を確認する
平均価格や価格分布を確認し、さらに上位商品への売上集中度を調べます。
市場全体に需要があっても、一部の商品へ販売が偏っていないかを確認することが重要です。
STEP4|新商品の販売状況を確認する
新しく出品された商品があるか、その中で販売実績を獲得している商品があるかを確認します。
新商品の定義は、比較対象市場で統一しましょう。
STEP5|市場を比較して優先順位を決める
最後に、調査した市場を同じ指標で比較し、詳しく調査する市場を絞り込みます。
ここでのゴールは、販売する商品を確定することではありません。どの市場で具体的な商品リサーチを進めるかを決めることです。
5つの指標を組み合わせた市場判断の例
例えば、3つの細分化市場を調査したとします。
以下は判断方法を説明するための仮想例であり、実際の市場データではありません。
| 指標 | 市場A | 市場B | 市場C |
|---|---|---|---|
| 市場規模 | 大きい | 中程度 | 小さい |
| 需要トレンド | 横ばい | 増加傾向 | 安定 |
| 価格帯 | 低価格中心 | 中価格中心 | 高価格中心 |
| 売上集中度 | 高い | 比較的低い | 高い |
| 新商品動向 | 販売実績が限定的 | 一定の販売実績あり | 判断材料が少ない |
| 一次判断 | 競争構造を追加確認 | 優先して詳細調査 | 需要と販売条件を追加確認 |
この例では、市場Aの販売規模が最も大きいものの、上位商品への売上集中が強く、新商品の販売実績も限定的です。
一方、市場Bは販売規模が中程度でも、需要が増加傾向にあり、新商品にも販売実績が見られます。
そのため、市場Bを優先して詳しく調査するという判断が考えられます。
ただし、実際の参入判断では、競合商品の強さ、差別化の余地、採算、商品品質なども確認する必要があります。
SellerSpriteで市場調査から商品候補の絞り込みへ進む方法
Amazon市場調査では、市場全体を分析する機能と、具体的な商品を探す機能を使い分けると効率的です。
SellerSpriteには「市場リサーチ」と「商品リサーチ」があり、調査目的に応じて利用できます。
STEP1|市場リサーチで市場全体を確認する
SellerSpriteの「市場リサーチ」では、市場規模、平均価格、売上分布、新商品動向など、市場全体の特徴を確認できます。
調査する市場について、5つの指標を整理し、参入候補として検討する価値があるかを判断します。
STEP2|商品リサーチで具体的な候補商品を探す
調査したい市場が決まったら、SellerSpriteの「商品リサーチ」へ進みます。
商品リサーチでは、対象マーケットプレイス、期間、カテゴリーを選択し、価格、月間販売数、レビュー数などの条件で商品を絞り込めます。
例えば、調査した市場の主要価格帯に合わせて価格条件を設定し、その範囲で販売されている商品候補を確認できます。
STEP3|商品候補を比較して次の分析へ進む
抽出した商品について、推定販売数、価格、BSR、レビューなどを比較します。
気になる商品が見つかったら、商品ごとの詳細情報や販売推移を確認し、競合分析へ進みましょう。
具体的な競合商品の比較方法については、Amazon競合分析の基本|参入前に比較すべき項目と調査方法で解説しています。
市場調査と商品リサーチの使い分け
市場リサーチ:どの市場を調べるか判断する
商品リサーチ:その市場でどの商品を詳しく調べるか判断する
セラースプライトの「商品リサーチ」では、カテゴリー、価格帯、推定販売数、レビュー数などの条件でAmazonの商品を検索できます。市場調査で注目したカテゴリーから、詳しく分析する商品候補を絞り込む際に活用できます。
商品リサーチで候補商品を探すAmazon市場参入前のチェックリスト
市場調査が終わったら、次の項目を確認しましょう。
- □ 調査対象のマーケットプレイスと市場範囲が明確になっている
- □ 市場規模を確認した
- □ 需要の増減や季節性を確認した
- □ 平均価格だけでなく価格分布も確認した
- □ 上位商品への売上集中度を確認した
- □ 新商品の販売状況を確認した
- □ 複数市場を同じ条件で比較した
- □ 詳細調査する市場と、その理由を説明できる
これらを整理しておくと、市場の魅力とリスクを客観的に比較しやすくなります。
Amazon市場調査でよくある失敗
市場規模が大きいほど参入しやすいと考える
市場規模が大きくても、上位商品に売上が集中している場合があります。需要と競争構造を組み合わせて確認しましょう。
平均価格だけで市場を判断する
平均価格が同じでも、価格分布が異なれば市場の特徴は変わります。主要価格帯や販売状況も確認することが重要です。
一時的な需要増加を市場成長と考える
季節性やイベントによって販売数が増える場合があります。可能であれば複数期間のデータを比較しましょう。
新商品が多いだけで参入しやすいと判断する
新商品が多くても、十分な販売実績を獲得できていない場合があります。新商品の数だけでなく、販売状況も確認しましょう。
異なる条件の市場データを比較する
集計期間、対象商品数、カテゴリー範囲が異なると、数値を単純比較できない場合があります。比較条件を揃えることが重要です。
Amazon市場調査に関するよくある質問
Amazon市場調査とは何ですか?
Amazon市場調査とは、カテゴリーや細分化市場全体の需要、価格帯、成長性、売上集中度などを分析し、参入する価値があるかを判断するための調査です。
Amazon市場調査では何を確認すればよいですか?
まずは市場規模、需要トレンド、価格帯、売上集中度、新商品動向の5つを確認すると、市場の特徴を整理しやすくなります。
Amazonの市場規模はどうやって調べますか?
市場リサーチツールなどで、対象カテゴリーの推定月間販売数や売上規模を確認する方法があります。集計対象の商品数や期間によって数値が変わるため、比較条件を揃えましょう。
Amazonのニッチ市場はどのように探しますか?
広いカテゴリーを具体的な用途や商品特徴で細分化し、それぞれの需要、価格帯、売上集中度、新商品動向を比較します。市場規模が小さいという理由だけで、参入価値がないとは限りません。
売上集中度が高い市場は避けるべきですか?
必ずしも避ける必要はありません。ただし、上位商品が強い理由や、新商品が販売を獲得できているかなどを追加で確認する必要があります。
市場調査と競合分析は何が違いますか?
市場調査は市場全体の需要や競争構造を把握する作業です。競合分析では、具体的なASINやブランドを比較し、参入障壁や差別化の余地を調べます。
SellerSpriteの商品リサーチだけで市場調査できますか?
商品リサーチでは具体的な商品候補の検索や比較ができます。一方、市場全体の販売規模、価格分布、売上集中度などを分析する場合は、「市場リサーチ」と組み合わせると調査目的に合った分析ができます。
まとめ
Amazon市場調査では、個別商品の販売状況だけでなく、市場全体の特徴を確認することが重要です。
参入前には、市場規模・需要トレンド・価格帯・売上集中度・新商品動向の5つを確認し、需要の大きさだけでなく、販売機会やリスクも考えましょう。
市場規模が大きいからといって、必ずしも参入しやすいとは限りません。反対に、小規模な市場でも、需要が安定しており、新商品にも販売実績が見られる場合は、詳しく調査する価値があります。
SellerSpriteの「市場リサーチ」で市場全体を確認し、「商品リサーチ」で具体的な商品候補を絞り込むことで、市場選定から商品分析までを段階的に進められます。
市場調査で有望なカテゴリーを見つけたら、次は具体的な競合商品や採算を確認し、販売判断に必要な情報を揃えていきましょう。

